クリーンルームはコロナウイルス対策に活用できるか?
最近、自宅にクリーンルームを作りたいのですが、という相談をちょくちょくいただきます。自宅を工場にするというわけではなく、コロナウィルスや花粉症対策が理由だそうです。
クリーンルームは、病院などでは無菌室、無菌病室とも言い、白血病など感染が即、死に直結するような患者などが使用しています。
なるほど、となれば、自宅にクリーンルームを設置すれば、コロナウィルスの心配がなくなるのか?と誰もが思うことでしょう。
ウィルスをシャットアウトすることができる
クリーンルームは目に見えないほどのホコリもシャットアウトします。ウイルス核の大きさは0.1μmと、とてつもなく小さいものですが、通常、人に感染する際はウィルスが付着した飛沫経由で感染します。その飛沫は20から30μmほどなので、クラス1000程度であれば、ほぼ完璧にウィルスをシャットアウトすることができるでしょう。
実際、ウィルスなどがあってはならない病院の手術室でも使われているほどですから、運用方法さえしっかり守っていれば、自宅にクリーンルームを設置することで、クリーンルームの恐怖はなくなると言っても過言ではありません。
実生活にクリーンルームを持ち込むことは現実的ではない
クリーンルームを作るには、非常にお金がかかります。また、それなりにスペースも必要になりますので、その点をクリアすることができる人というのは、ごくごく限られたお金持ちの人たちだけでしょう。
仮にすごいお金持ちの人が、自宅にクリーンルームを作ったとします。しかし、それでだけでも、コロナ対策としてクリーンルームを活用するには十分ではありません。
クリーンルームは作ったときは、無菌状態ですが、当然その中に人間が出入りしますし、その中で作業をしたりします。
たとえ無菌状態のクリーンルームであっても、使用中にウィルスが入り込む危険性に常にさらされているのです。
そこで、ウィルスが持ち込まれる危険性を減らすために、正しい手順に沿った活用がなされなければなりません。
クリーンルームに持ち込むものは最小限、専用の服に着替えて、手を洗い、と、クリーンルームに入るたびに必ずやらなければなりません。
気軽にコンビニまで買い物に行ったり、お風呂入ったり、おトイレ行ったり、そんなたびに、またクリーンルームで着用するクリーンウェアに着替えて、手を洗って、エアシャワー浴びて、なんてしなければならないわけです。
もちろん、誰かがお家を訪ねてきたら、その人達にも、同じ手順でクリーンルームに入ってもらわなければなりません。
一般家庭で、普通に生活していく上で、こうしたことを、行えるでしょうか?ちょっと無理ですよね。
そういう意味で、クリーンルームを自宅に導入するのは現実的ではないと思います。
クリーンルームにいると抵抗力が衰える
かりにクリーンルームを家に作り、そして毎回、非常に手間がかかるけどきちんと手順を守って、クリーンルームを運用していったとします。
それでもまだ、クリアすべき問題があります。
それは、人間の身体の抵抗力が落ちてしまうという問題です。
クリーンルームが正しく運用され、クリーンルーム内の無菌状態が保たれるのは、工業製品などにとっては、とてもいいことですが、人間にとっては必ずしもいいことだとは限りません。
クリーンルームはウィルスをシャットアウトしますが、それによって人の体は、無菌状態になれてしまい、ウィルスに対しての抵抗力がどんどん落ちていってしまうからです。
悪い菌は病気を引き起こす悪役ではありますが、人間の身体は不思議なもので、その悪役の菌がいるからこそ、良い菌が活発になって、さらなる悪い菌の侵入に対して、大きな抵抗をしてくれます。
それが、クリーンルームのような無菌状態の環境になると、人間の身体に悪い菌がいなくなっていくために、それにしたがって、外部から入ってくる悪い菌に抵抗する良い菌の抵抗力もどんどんと落ちていってしまいます。
そうなると、ちょっとしたことで風邪を引きやすくなったり、といった状態になります。
クリーンルームという無菌状態の中で生活することは、人間の身体にとって、一時的には大変メリットのあることですが、長期間になると、かえって身体の機能を衰えさせることがあるのです。
病気や治療、療養、手術など、一時的にクリーンルームを使用するのは、大変なメリットがありますが、一般家庭で日常的に使うのは、かえって健康を害しかねないのです。
クリーンルームの考え方は役に立つ
クリーンルームを家庭に設置する、そして日常的に利用するのは、かえって街になりかねないのですが、しかし、クリーンルームの考え方、運用の仕方などは、コロナウィルス対策において、非常に役に立ちます。
たとえばマスクの着用に関して、マスクを何回も使う人、マスクのウィルスが付着しているであろう部分を、触ってしまう人。はずしたマスクをそのまま、ポケットに入れてい舞う人、など、クリーンルームを施工している私達から見ると、せっかくのマスクの意味がない、マスクの使い方をしていたりします。
また、外から家の中に入る際に関して、コートは玄関で脱いで、ウィルスを中に持ち込ませないとか、換気の問題など、クリーンルームを使っている人たちであれば、日常生活で、ウィルスによる感染を防ぐために、ごく自然に合理的に行動できるでしょう。