添加物?保存料?ヤマザキパンはなぜカビないのか?その秘密はクリーンルーム?
先日、掃除をして出てきた一年前のヤマザキパンにカビが生えていなかった!
そんなツイートがバズりました。
息子の車掃除してたら未開封の去年のパン出て来た
— かか (@kaka7dario) May 27, 2023
恐ろしい事に開けて見たらカビも生えてないし今買ってきた状態💦
恐っ😱💦 pic.twitter.com/JU1RI682YM
多くの場合、食パンなんて、一週間もすれば普通に黒いポツポツのカビが生えてくるもんですが、一年経ってもカビが生えてこないなんてことがあり得るのでしょうか。
この異常な?自体に、ネットではあの噂、「きっと添加物や保存料が入っているからだ!」なんてことがまことしやかに囁かれたりもしましたが、今回、山崎パンはENCOUNTさんの取材に回答する形で、カビ抑制のためには「添加物や保存料は使用してない」と明言し、カビが生えなかったのは、衛生管理を徹底して作られた製品だからであり企業努力の賜物である旨をたわものだ」との見解を示しました。
では、どんな衛生管理をしたら、一年経ってもカビが生えないパンが作れるのでしょうか?
カビが生えないメカニズム
簡単に説明すると、空気中にはカビの胞子が浮遊しているが、これがパンに付着しなければカビが生えません。
さらに、パンの場合、通常200~250度で30~40分間の焼成(しょうせい)工程があり、その際の中心部の温度は95度を超えるため、たとえ焼成前にカビ胞子が付着していたとしても、焼成により死滅します。
そのパンを袋詰して密閉することで、無菌状態のパンにすることができるわけです。
そして、無菌状態のパンを製品として製造することを可能にしているのが、クリーンルームなのです。
食品製造におけるクリーンルーム
クリーンルームというのは、無菌室とも呼ばれ、密閉されたきれいな部屋、というように理解されている人も多いかと思います。
基本的にはそのとおりなのですが、クリーンルームは多くの場合、その中で作業するために、人の出入りがあります。それはつまり、無菌状態の部屋の中に、外部から菌が持ち込まれる可能性があることを意味します。
さらに食品製造の場合は、電子製品の製造とちがい、極度の加熱工程があったり、大量の水蒸気の発生によって湿度が高くなったり、元々菌を含んだ原料を扱わなければならなかったり、と、非常にカビが発生しやすい要因をたくさん抱えているのです。
よって、特に食品製造におけるクリーンルームは、無菌状態を作り出すと同時に、菌が持ち込まれる可能性、そしてクリーンルーム内で菌が発生する可能性まで考えた上で設計し、その運用を的確にアドバイスしなければならないのです。
カビないパン製造を可能にするクリーンルームと山崎製パンの努力
一年経ってもカビが生えないパンを作るには、非常に高度な計算し尽くされたクリーンルームが必要になりますが、それと同時に、そのクリーンルームを的確に運用する山崎製パン側の努力も絶対に必要です。
そこは企業秘密にも関わってくることでしょうから、山崎製パン側も、控えめな感じで次のように説明しています。
「パンに付着するカビ胞子の数は、パンの焼成後の製造環境の清浄度合、清潔度合で違いがあります。このため当社では、工場での製造時のカビ付着を防止するために、各製造機器に清掃手順書を定め、決められたスケジュールにより清掃を実施し、衛生的な製造環境の維持向上に努めています。また、当社の食パンは、包装工程で1斤ずつ袋詰めして密閉しています」
山崎製パン談
さらに、ベールに包まれた衛生管理の様子を、アルバイトをしたことがあるという人が次のように説明しています。
私は、40年前くらいにヤマサキパンでアルバイトした事がある。お彼岸のたんご作りだったと思います。
元アルバイトさんの証言
先ず驚いたのは、1週間のアルバイトでも便検査。そして完全防備をして髪の毛も混入しないように着替えて帽子を被り、その上にエアーカーテンを通る。作業が始まるとはっきり時間は記憶していませんが、1〜2時間おきに消毒班の方が、ビニール手袋をしてる私達の手をアルコール消毒にくる。
機会も定期的に、消毒をしてました。
40年前と今とでは、もうかなり状況が変わっているでしょうが、それでも、40年前でもこれだけの衛生対策が取られていたということに驚くのではないでしょうか。
日本の食品産業の企業努力、それを支えるクリイーンルーム
一年間たってもカビが生えない、そんな普通では考えられない優れた製品を作り出すために、裏では凄まじい企業努力がなされていることがおわかりいただけたと思います。そして、その企業努力を、最前線で影から支えているのが、クリーンルームなのです。
プリートアイでは、クリーンルームの導入をお考えの方のご相談に乗っております。